1.熱湯のご祈祷

「日本ないし漢土、月氏、一閻浮提に人ごとに有智無智をきらわず、一同に他事を捨てて、南無妙法蓮華経と唱うべし」
『報恩鈔』

 昨年から、熱湯のご祈祷を午後一時に変更したところ、大勢の参詣者が来られるようになりました。
 元朝0時の時間をかえて、はたして熱湯のお加持ができるのかという迷いがありました。しかし、無事にできたことは、お祖師さまをはじめ御前さま尼さんのご守護のおかげと思います。
 妙覚寺は尼さんのみ心が生きているお寺、また、尼さんの心を自分の心としている檀家さんがいるお寺と思います。
 亡くなって十三年をへて、新しい檀家さんや子供たちは尼さんを知りません。私の子供も「尼さんって女の人だったの」と目を丸くしていました。
 「他事を捨てて」という行いは尼さんの人生そのものかと思います。私たち弟子はお寺の中に一緒に生活をしていましたので、外や中もよく見ています。本当の姿がわかります。
 尼さんは自分の体の具合が悪くても、檀家の方のために動かれた人です。
 肉離れをした足で正座してお伺いしていたお姿。入院しなければならないのに、病床の人を励ましている姿。
 妙覚寺はこのようにして作られたと思います。
 佛飯とお茶をお供えして、お経を上げることはあっても、お祖師さまの考えの通りに行動はできません。
 それにはお祖師さまのお言葉でありますご遺文を読むことが必要です。
 困ったときだけ頼るのでなく、毎日手を合わせる事が大事と思います。
 「他事を捨てて南無妙法蓮華経と唱える」姿勢が大切ではないでしょうか。
 社会、生活、家族のなかにこそ、信仰心のある行動をとりたいものです。
 怒る前に、まず心の中でお題目を唱えなさいと尼さんは教えて下さいました。そうしたら愛情のある言葉となると言われました。
 心に常にお題目をお唱えし、また、お寺の護持、発展のためにご精進下さいますよう、お願い申し上げます。